2014年4月23日水曜日

2014春消える列車・消える景色Part.12~新幹線開業を待たずに廃止へ…江差線木古内ー江差間~

こんにちは、専修大学鉄道研究会です。

あと1週間ほどでゴールデンウィーク、全国各地へお出かけの方も多いと思いますが、今回紹介する鉄道路線へ行かれる方もいらっしゃると思います。
「2014春消える列車・消える景色」今回は2014年5月11日(日)に営業運転を終了し、12日(月)に廃止になるJR江差線木古内~江差間をご紹介します。

終点・江差駅に到着したキハ40形の普通列車。(2014年2月24日 江差駅)
 
~関東ー北海道輸送とローカル輸送を担うJR江差線
江差線は北海道の五稜郭~江差間79.9キロのJR北海道の路線です。
そのうち五稜郭~木古内間37.8キロは函館~青森間を青函トンネルを通して結ぶ「津軽海峡線」の一部として機能しており、特急「白鳥」・「スーパー白鳥」や、寝台特急「北斗星」・「カシオペア」・「トワイライトエクスプレス」、さらには貨物列車など、数多くの列車が日夜走行しています。
また、道南最大の都市・函館にアクセスしていることから普通列車も多く運転されており、ほとんどの列車が函館駅まで乗り入れています。
一方、木古内~江差間42.1キロは1日6往復の普通列車のみ運転されるローカル線であり、五稜郭~木古内間が電化されているのに対しこちらは非電化のままとなっています。
 
新青森~青森~函館間を結ぶ特急「スーパー白鳥」。JR北海道の789系が使用される。
(2014年2月24日 新青森駅)

~廃止となる木古内ー江差間の概要~
江戸時代からニシンの漁場や北前船による交易港として栄えた日本海側の港町・江差に鉄道がやってきたのは1936(昭和11)年。この時点で江差線が全通し、函館と江差が鉄道で結ばれました。
かつては急行列車や貨物列車も運転され、木材・海産物輸送で賑わっていましたが、上記のとおり現在は普通列車のみの運転になっています。
1980年代の旧国鉄赤字ローカル線廃止の際、木古内から城下町として栄えた松前を結んでいた松前線が1988(昭和63)年に廃止になったのに対し、木古内~江差間は並行道路が未整備であったことや、輸送量の多い五稜郭 ~ 木古内間の存在が幸いしJR北海道に引き継がれました。
 
車両側面に掲示されている行先サボ。(2014年2月24日 江差駅)

~木古内ー江差間廃止までの経緯~
2015年度末の北海道新幹線新青森~新函館間開業に伴い、並行在来線となる五稜郭~木古内間は第3セクターに引き継がれることになりましたが、「飛び地」となる木古内~江差間は乗客の減少やトンネル・鉄橋など鉄道施設の維持管理に莫大な費用がかかることため、北海道新幹線開業を待たずに廃止されることになりました。

2012(平成24)年9月3日 JR北海道より2014年度初めに木古内~江差間を廃止するの旨を沿線自治体に伝えたと発表
                 沿線自治体は代替交通手段の確保への協力を条件に廃止受け入れを表明

2013(平成25)年3月29日 代替バス運行へのJR北海道の支援策が沿線自治体に受け入れられたため、廃止に沿線自治体が合意したと報道
            4月26日 JR北海道より、国土交通省へ木古内~江差間の鉄道事業廃止届を提出したと発表
 
2014(平成26)年5月12日 この日をもって江差線木古内~江差間(42.1キロ)廃止予定
 
~木古内ー江差間乗車レポート~
春休み期間中の2月24日(月)、筆者は東京から東北新幹線はやぶさ1号・特急スーパー白鳥1号を乗り継いで江差線に向かいました。
木古内発11:48発江差行の普通列車はキハ40形2両編成。車内は鉄道ファンや廃止を惜しむ旅行者がメインであり、地域住民の方の利用は少ないように思われました。通常の1両編成が2両編成に増結されたのは、廃止前の多客対応かと推測されます。
木古内を出発すると列車は雪深い山岳地帯へ。途中の吉堀~神明間の駅間距離は13.2キロ、急カーブ・急勾配が続くため、この区間は約20分かかります。
 
吉堀駅の駅名板。(2014年2月24日)
 
途中の湯ノ岱(ゆのたい)駅は木古内~江差間では唯一の列車交換駅であり、終日駅員が配置されています。この駅では運転手と駅員の間で「スタフ」という列車運行に必要な道具の受け渡しが行われます。
 
スタフを渡し終え、江差行列車の出発を見守る駅員。(2014年2月24日 湯ノ岱駅)
 
湯ノ岱駅を出発してしばらくすると「天の川」という名前の河川と併走します。川沿い区間には「天ノ川駅」という駅名板を模したモニュメントもあり、列車内から確認することができます。
 
湯ノ岱~宮越間に設置されている「天ノ川駅」のモニュメント。(2014年2月24日 江差線車内より)
 
列車は田園地帯に入り、上ノ国駅を過ぎると車窓には日本海が広がります。この日は天候も良かったため、穏やかな海模様でした。
 
終点間近で見ることができる日本海。珍しく穏やかであった。(2014年2月24日 江差線車内より)
 
12:55分、列車は終点・江差駅に到着。多くの乗客が江差まで乗りとおしました。折り返しまでの間に記念乗車券を購入する人や駅舎・駅構内を撮影する人など、それぞれ思い思いに江差駅でのひと時を過ごしていました。
 
江差駅の駅舎(左)と江差駅の駅名板(右)。(2枚とも2014年2月24日)
 
帰りは江差発13:07発の普通列車函館行に乗車。行きの列車とほぼ同じ顔ぶれでした。
木古内手前で完成近い北海道新幹線の高架橋をくぐります。新幹線が走ってきてもおかしくない雰囲気でしたが、木古内~江差間は高架橋を走る新幹線を見ることなく廃止になります…
14:13分に木古内に到着。この後筆者は特急スーパー白鳥11号に乗車し函館を目指しました。
 
木古内~江差間全10駅を紹介するポスター。(2014年2月24日 江差線車内)

~終わりに~
廃止まで残り2週間少しとなった江差線木古内~江差間。現在JR北海道より、様々な記念乗車券や旅行ツアーが発売されています。
また、最後の週末になる5月10日(土)・11日(日)には客車を使用した臨時列車「さようなら江差線号」が函館~江差間にて運転されます。
北国にやってきた遅い春の時に散り行く江差線木古内~江差間。北国の消え行くローカル線に思いを寄せてはいかがでしょうか。
 
函館と江差を78年もの間結び続けた鉄路も、まもなくその使命を終える…
(2014年2月24日 吉堀~神明間)
 
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