2014年2月7日金曜日

2014春消える列車・消える景色Part.2~さらば「パノラマエクスプレスアルプス」 富士急行「フジサン特急」2000形~

 皆様こんばんは。専修大学鉄道研究会です。

 専修大学では、1月28日より春休みに入りました。試験や課題レポートなどがひと段落して春休みに何をしようかと思いを巡らせている部員など皆心の内はそれぞれとなっているであろう今日この頃でしょう。

 さて、今回は現会長の「長キマ」が担当させて頂きます。学園祭の終了後に会長に就任いたしました。今回が初のブログ投稿になります。今後、度々お目にかける機会があるかと思いますがよろしくお願いします。

 「2014春消える列車・消える景色」今回は、富士急行線の特急列車「フジサン特急」について紹介したいと思います。
 

 「フジサン特急」は、2002年2月から富士急行線内で運転されている特急列車であり、使用されているのは富士急行に在籍している「2000形」と言う電車です。
 現在この2000形はファンから注目されている鉄道車両のひとつとなっています。2000形は元々JR東日本が所有していた、いわゆるジョイフルトレインの1つであった「パノラマエクスプレスアルプス」を富士急行が譲り受けた車両です。この「パノラマエクスプレスアルプス」は、国鉄の分割民営化の直前である1987年3月に165系急行型電車を改造したものです。
 
 このフジサン特急の2000形が今ファンの脚光を浴びているのは、この165系を改造したことにもあります。まずは、この165系がどのようなものなのかについてからお話することにしましょう。

1. 165系について

 165系は、旧国鉄が1963年から1970年にかけて製造した直流急行形電車です。
 
165系の例として。JR東海の企業博物館「リニア・鉄道館」に保存されている車両。
この車両は現役時代の晩年には写真の前面が登場当初の原型を保っている車両として有名だった。
 (2012.12.23 リニア・鉄道館館内にて)
 
 現在、JR線での定期の急行列車は青森~函館間の「はまなす」のみとなりましたが、1970年代後半~1980年代初めまでは多くの路線で特急列車と急行列車がそれぞれほぼ同じ本数で両立して運転されておりました。
165系は上越線の「佐渡」、「よねやま」や中央本線の「アルプス」・「かいじ」・「かわぐち」・「こまがね」と言った勾配の急な路線の急行列車に使用する目的で開発された電車でしたが、登場間もない頃から東海道・山陽本線等の平坦な路線でも使用されました。
 なお、鉄道による移動が今よりも遥かに旺盛であった修学旅行の輸送に適合させた167系と、碓氷峠の急勾配を長い編成で上り下り出来るようになっている169系と言う仲間もいます。
 
 
 167系の例として。登場当初の姿を模したモックアップ
 (2013.12.24 鉄道博物館敷地内にて)
 
  169系の例として。2013年まで現役だったしなの鉄道の車両のうち国鉄色に塗り戻されたもの
 (2013.2.3 戸倉駅にて)
 
 さて、国鉄の分割民営化が近づいた時期になると、多くの路線では急行列車を特急列車に格上げする措置を採るようになりました。このため165系を含め急行列車に使用されていた車両は本来の目的を失った車両が多く発生し、普通列車や快速列車、更には「波動用」と言われる臨時列車用として割り振られるようになりました。

2. 「パノラマエクスプレスアルプス」の誕生

 国鉄から急行列車が続々と姿を消す一方で、内装を畳敷き、もしくは座席を特急型車両の物よりもグレードの高いものにして、さらに宴会の出来る区画を設けるなどして大人数のツアーの団体臨時列車に対応した車両が作られるようになりました。これがジョイフルトレインです。
 これを作る元になる車両(これを「種車」と言う)には特急用車両から普通列車用の車両まで様々な物があり、急行型車両も種車に選ばれることがありました。「フジサン特急」の元となった「パノラマエクスプレスアルプス」は、165系の中でも比較的後期に製造された車両のうち、由来の異なる3両編成2組を元に改造したものでした。改造の際には、端の先頭車に展望室とラウンジ、中間車には個室を設け、座席も床の高さを上げるハイデッカー構造にした上で特急用車両と同じリクライニングシートを付けるようになりました。また前面にカメラを搭載し、客室内にテレビ画面を設けることで展望部分に座らずとも前面展望が楽しめるようになりました。
 
 展望室が設置された側は原型をとどめていない。
(2013.12.28 河口湖駅にて)
 
展望室が設置されなかった側はかつての面影を残す。
(2013.12.28 富士山駅にて)
 

 「パノラマエクスプレスアルプス」は、中央本線を中心に団体臨時列車や多客期の一般の乗客も乗ることの出来る臨時列車に使用されました。後に譲渡されることになる富士急行線や、碓氷峠にも入線した実績を持っています。2001年に入り引退が発表され、同年8月の青梅線での臨時快速列車での運行をもって運行を終了しました。

3.  第2の活躍の場「フジサン特急」へ
 
一方、富士急行では1998年から特急列車の運転を開始しました。当初は京王5000系を譲り受けた「1000形」という車両のうち、座席を転換クロスシートに交換した車両を使用していましたが、富士急は自社にも入線実績のある「パノラマエクスプレスアルプス」引退の際にこれを譲り受け、特急列車に使用することで観光客を呼び寄せることにしました。これが「フジサン特急」の誕生です。
 譲渡の際には車体側面に富士山を様々な形で擬人化したものがラッピングされるようになりました。また3両編成2組を組み合わせていた物を、線内のホームの長さの関係で別々に運行させるようにしました。
「フジサン特急」に転用された後の様子。写真は第1編成
(2012.3.7 大月駅にて)
 
 
キャラクターの1例。写真は「教育ママ」をイメージしたという「フジママ」。「フジママ」の息子「プジ」というものもある。
(2012.3.7 大月駅にて)
 

「パノラマエクスプレスアルプス」は「フジサン特急」として第2の活躍の場を得ましたが、この間165系のうちジョイフルトレインに改造されなかった車両が、新型のE257系などの特急型電車に突き出された183系など従来型の特急型電車に置き換えられる形で2003年に全て引退することになりました。同じ年、167系も姿を消しました。
 2004年の時点で165系の仲間で残るのはこのフジサン特急の富士急行2000形と、長野県のしなの鉄道の169系のみとなりました。その後2013年4月をもってしなの鉄道の169系も姿を消し、残るはフジサン特急のみとなったのです。

 そのフジサン特急も今年夏ごろをもって引退することになりました。2000形に代わるのは当鉄道研究会の主な所在地である生田キャンパスのふもとを走っていた小田急のロマンスカー20000形「RSE」となる予定で、現在改造が進められています。


3両編成化・バリアフリー対応などの改造工事が進められている20000形「RSE」。
車両工場への甲種回送の前に小田急線内を自力回送したときの一コマ。
(2013.11.8 成城学園前駅にて)
 
 
置き換えに先立って、2000形は、2編成あるうち製造時期の古い2番目の編成について2月9日をもって引退させることになり、昨年11月30日からかつての「パノラマエクスプレスアルプス」の塗装に戻した上で「フジサン特急」として運行しています。もう一方の1番目の編成は現在検査中で、「フジサン特急」のうち一部の列車は他の車両での運転となっています。2番目の編成が引退した後は1番目の編成を使用して元ロマンスカーの到着を待つようです。「フジサン特急」の運用には2編成いずれも必要なようなので、一部列車の他の車両での運転は、2000形の引退まで続きそうです。
 現在165系の流れをくむ電車として最後の現役車両となった富士急行の「フジサン特急」2000形を求め、富士急行を訪ねてみては如何でしょうか?


「パノラマエクスプレスアルプス」時代の塗色に塗り戻された2000形第2編成の活躍も間もなく幕を下ろす。
(2013.12.28 富士急ハイランド~富士山間にて)
 
 
(ブログ作成に当たり、部員に写真を提供していただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。)


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